一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は、FATFによる市中協議文書「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス改訂案」に伴って、会員のみならず一般より広くパブリックコメントを募集し、とりまとめた上、FATFへ意見提出することを発表した。(2021.3.30 JCBA公式)
今回の改訂ガイドラインの内容が確定した場合、過剰な規制導入につながり、決済利用を含めた暗号資産の適法な利用ひいては暗号資産業界の健全な発展に支障をきたすおそれが高いと考えており、暗号資産交換業社だけでなく暗号資産業界全体に影響が及ぶ内容のため、交換業者以外にもマルチシグの秘密鍵を扱う事業者、スマコン・Dapps・Layer2技術開発者、NFTやステーブルコイン関連事業者等にも幅広く意見を寄せるようお願いしている。
パブリックコメントとは
パブリック・コメントとは、市の基本的な政策や制度を定める計画や条例を決める際に、その案や素案について、広く市民の皆さんに公表し、皆さんから寄せられたご意見などを案に取り入れることができるかどうかを検討するとともに、寄せられた意見などに対する市の考え方とその検討結果を類型化して公表する一連の手続のことです。(引用元)
FATFとは
金融活動タスクフォース(FATF)は、世界的なマネーロンダリングおよびテロ資金供与の監視機関。これらの違法行為とそれが社会に与える害を防ぐことを目的とした国際基準を設定しています。政策立案機関として、FATFは、これらの分野で国の立法および規制改革をもたらすために必要な政治的意思を生み出すよう努めています。(引用元)
主な改訂提案の内容および対象となる事業者
①仮想資産及び仮想資産サービスプロバイダーの定義の拡大解釈
改訂ドラフトは、仮想資産(我が国では「暗号資産」と定義されています。以下「VA」といいます。)及び仮想資産サービスプロバイダー(我が国では暗号資産交換業者と定義されています。以下、「VASP」といいます。)の定義の拡大解釈を提案しています。
この拡大解釈によれば、VASPにはマルチシグを使用した場合に秘密鍵の一部を保有する者や、スマートコントラクトやDappsの開発・運営に関与する事業者、ライトニングネットワークのノード運営者など、これまで必ずしも規制対象と考えられてこなかった広範囲の暗号資産関係者が規制対象として含まれる可能性があります。また、VAにはステーブルコインのほか、ノンファンジブルトークン(NFT)も含まれる可能性が示唆されています。
②ピア・ツー・ピア取引への規制
FATFは、ピア・ツー・ピア取引(P2P取引)はFATF勧告の明示的な対象ではないとしていますが、P2P取引をAML/CFTの観点からリスクが高いものと評価しています。この対策として、FATFは、P2P取引におけるリスクがP2P取引のML/TFリスクが許容できないほど高い場合という限定を付しつつも、例えば、VASPが非ホスト型のウォレットとの間の取引を許容する場合、加盟国はVASPのライセンスを拒否することもできるとしています。
③トラベルルールの義務内容の拡張
改訂ドラフトは、従来VASP間でのVA送金取引のみを対象としていた顧客の個人情報の収集及び送金側VASPから受取側VASPに対する個人情報提供義務(「トラベルルール」)の内容を拡大し、VASPから非ホスト型ウォレットへのVA送金及び非ホスト型ウォレットからVASPのVA送金にもトラベルルールが適用されるとしています。また、トラベルルールを履行する際の手続に関し、顧客スクリーニングの手続や取引先VASPのデューデリジェンス手続などが詳細に記載されています。
募集期間
2021年3月30日(火)〜2021年4月7日(水)15:00 まで
提出方法
協会ホームページ参照のうえメールにて送付。
募集期間
2021年3月30日(火)〜2021年4月7日(水)15:00 まで