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NTFのおさらい
まずはNTF「Non-Fungible Token」をおさらい。
直訳すれば「代替不可能なトークン」。
要するに「一点物」という価値を担保するトークンを意味する。
このトークンをモノと紐づけることで、発行者や所有者など情報をブロックチェーンに記録し完全に改竄不可能になるんだ。物流などで応用が利くと考えられている。
NTFゲーム
NFT活用のゲームのメリット
NFT技術で、自分の取得した一点物のキャラクターやアイテムをプレイヤー同士で売買することや、取得したキャラクターやアイテムを他のゲームで使うことも可能。 – 出典:Coincheck
上記はCoincheckで説明されている内容だが、実はこれの前半”自分の取得した一点物のキャラクターやアイテムをプレイヤー同士で売買すること”は、例えばSteamというゲームプラットフォーム上では、(そもそもアイテムが一点物ではないが)売買自体はすでに法定通貨で可能であり、これは別にブロックチェーンやNFTとは関係なく実現できていたことである。
後半の別のゲームでも使えるというのは確かに面白いと思うが、これはゲームとゲームをつなぐ架け橋にはなって一見ゲームの幅を広げているように感じるが実は逆にゲーム幅を狭めているような気がする。こういった理由から編集長は正直はNFTゲームに対して、いまいちピンと来ていないかった。NFTである必要性を感じなかったからである。ゲームというエンタメ性に人を集めることができてもそこのイノベーションが起きるイメージが湧かなかった。
これまではNFTを実用化したプロダクトで注目されていたのはゲームしかなかったが、NFTをアートに適応したプロダクトが続々と出て、何かと話題になり加熱してきたので今一度目を向けてみる。
NFTアート
NFTの説明とかぶるがNFTアートがなぜ価値を持つかというと、NFT技術がその作品の固有の価値を証明しているからだ。あらゆるデータがチェーンに保存されている。作成日、作成者に保有者以外にも様々なデータが改ざん不可能な形で保存されている。また、お金を人のウォレットに送金するのと同じ感覚、他人にその権利を譲渡することもできる。
余談だが「NFTアート」という言葉に少し違和感がある。〇〇アートいうと、〇〇を題材にしたアートという印象があり、NFTアートと聞くとNFTを題材にしたアートというニュアンスに感じてしまう。実情はアートを紐づけたNFTを販売しているというだけであり「アートNFT」と表現した方が合っている気もする。ゲームアイテムをNFTとして売っている「ゲームNFT」があり、そのアート版が「アートNFT」となる。NFTがアートなわけではない。
NFTアートの何が革命的なのか
上記、NFTアートの説明だけでは、単にデジタルアートの所有権が明確になったことの何か革命なのかとピンとこないかもしれない。デジタルアートがどんな性質を持っているのか知る必要がある。デジタルなアート作品は、基本的にコピーがし放題なのである。Twitterでも人が書いた絵を自分の書いた絵として平気に盗用して載せている人もいる。そういったコピーされやすいデジタルアートをNFTと紐づけることで完全に所有権を明らかすることができる。(※1)そこにプログラムを組みこむことで所有権が動くごとに使用料を発生させることも可能。作品にそうした新しい価値を不随できるということが大きな可能性として期待される。
(多少話は変わるが最近では有名な漫画の作品などのセリフ部分を書き換えたネタ投稿などをよく見かける。あれも立派な著作権違反だ。漫画も今や立派なデジタルデータでデジタルアートである。1PごとNFTに紐づけたら…)
※1. 誤解している人も多いが、この技術が作品のコピーを防げるわけではないということ。公開されたデジタルデータは簡単にコピーできるし、ローカルに保存することも出来る、それを個人が鑑賞することも可能である。
NFTアートに火が付いたきっかけ
NFTアートは以前から存在していたが、それに火が付いたのはオークションで高額取引されたという話題がきっかけだろう。その後も次々とそういった高額取引の話題が続き、買い手のコレクターが注目し、売り手のクリエイターも注目した。こうして需要と供給が機能し、NFTアートに火が付いた。
以下に話題になった取引について適当にピックアップする。探してみるとこの他にもたくさんのアートが誕生していることを体感できると思う。
▼チャリティーオーククションで、米ロックバンド「リンキン・パーク」のボーカルが作ったデジタルアートが30,000ドルで取引
🌜🌞🌛
$30,000 bid accepted!!!!
Congratulations to @mikeshinoda on the your first cryptomedia sale!
Anyone can still bid on “One Hundredth Stream”:
↳ https://t.co/bMSPapF4jM pic.twitter.com/zEtTW1uS7h— Zora ☼☽ (@ourZORA) February 8, 2021
▼NFTアートで3億円を売り上げたアーティスト
AND THAT’S ALL SHE WROTE!!! The auction ends on a ridiculous last second bid of $777,777. This brings total PRIMARY MARKET sales from @beeple‘s collection to over $3,500,000+
CONGRATULATIONS TO THE LEGEND BEEPLE and thank you to the entire community!!! https://t.co/pp4fm0j6iJ
— Nifty Gateway (@niftygateway) December 13, 2020
▼5分で310万ドル以上を稼いだデジタルスニーカー
.@RTFKTstudios x @fewocious on @niftygateway made over $3.1M in 5 minutes. pic.twitter.com/lZgdFba4iT
— The Loop News (@loopifyNews) February 27, 2021
NFTアートがクリエイターに刺さる理由
クリエイターは、基本的には自分の作品をたくさんの人にみてもらいたいと考えている。常に最適な作品披露の場を求めている。そのためにTwitter、Instagram、Pixiv、Tumblr、Tiktok、Youtube、facebookとありとあらゆるツールを駆使し自分の作品をPRを試みている。色々なツールを使う彼らにとってNFTアートに人々の関心が集まっているということを察するのは容易であり、そして人の注目が集まっている震源地にいち早く自分の作品を投下したいと考えるのはごく当たり前の心理である。そこに高額取引の話題も合わされば彼らがそこに参加するモチベーションは十分に上がる。
また、たくさんのツールや媒体に自分の作品を晒すことに「盗用・盗作」というリスクがあることを経験している彼らにとっては、そういった問題も解決してくれそうなNFTアートが魅力的なものに映るのも違いない。
実際のところクリエイターにとって、裏で動くその技術の先進性や革新性にはあまり興味がないかもしれない。単純に新しいマーケットとして新たな収入源の場が生まれたという話に過ぎないかもしれない。自分のまわりの理に聡いクリエイターも、LINEスタンプで儲かったという話を聞けばLINEスタンプを販売してみたり、Tiktokでバズった話を聞けばTiktokを始めたみたり右往左往している。
NFTに新しいアイディアが加われば、売り場が単純に一つ増えたという意味以上の意味をもたらす可能性があることに気付いているクリエイターは実はまだ少ないのかもしれない。
編集部よりヒトコト
「ブロックチェーン」「NFT」という難しい単語を最初に出した途端に一般の人の興味は遥か遠くにいってしまうが「デジタルアートが高額で売れたらしい」というわかりやすい話題で人々の注目が集まった。人が集まればその分野は発展していくだろう。ただのブームであればいずれ廃れるだろう。現在の過熱ぶりは、もはやそこにNFTである必要性のあるなしも関係はない。人類はいつだって欲望を原動力に進化してきた。欲望は大事だ。