11月4日、自由民主党の『予算・税制等に関する政策懇談会』に暗号通貨業界団体として日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の廣末会長、幸専務理事が出席し、「税制改正を要望書」を提出した。
仮想通貨取引を行う人の多くはこれら税制改正を望む人が多く、この話題はたくさんのメディアにもうすでに取り扱われていますので当記事では既に出ている情報を整理したり、少し脱線してその他自分が気になったことを少し掘り下げて調べていきたいと思います。
『予算・税制等に関する政策懇談会』とは?
自民党が予算・税制等に関する政策意見を様々な業界から要望聴取・意見交換を行うために開催している会。
自民党の活動カレンダーを調べたところ『予算・税制等に関する政策懇談会』は、11月16日現在で10回ほど行われている。その業界や参加団体は多岐にわたる。(以下に掲載)暗号通貨業界は(財政・金融・証券)金融・証券関係団体としての枠に参加している。
参加した団体
(商工・中小企業)中小企業関係団体
(商工・中小企業)経済団体
(厚生)医療関係団体(その1)
(厚生)医療関係団体(その2)
(厚生)医療関係団体(その3)
(商工・中小企業)機械・工業関係団体
(商工・中小企業)流通・サービス関係団体
(商工・中小企業)化学・製紙・繊維関係団体
(商工・中小企業)鉄・非鉄・金属・建材・硝子関係団体
(財政・金融・証券)金融・証券関係団体
(厚生)生活衛生、公衆衛生、年金、健康保険、生協関係団体
(国土・建設)建設関係団体
(生活安全)生活安全関係団体
(商工・中小企業)エネルギー関係団体
(財政・金融・証券)税務・中小企業関係団体
(自治)自治関係団体
(環境)環境関係団体
(商工・中小企業)自動車関係団体
(運輸・交通)海運・港湾・旅行関係団体
(厚生)福祉関係団体からの要望聴取、意見交換(その1)
(財政・金融・証券)酒・たばこ・税務関係団体
(社会教育・宗教)社会教育・宗教関係団体
(情報・通信)情報・通信関係団体
(法務)法務関係団体
(厚生)福祉関係団体からの要望聴取、意見交換(その2)
(国土・建設)住宅・不動産関係団体
(労働)労働関係団体
(安全保障)安全保障関係団体
(教育・文化・スポーツ)文化・スポーツ関係団体
(NPO・NGO関係)NPO・NGO関係団体
(運輸・交通)運送・自動車関係団体
要望書の概要
I項「2021年度税制改正に関する要望書 」
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)がまとめたもの。内容は2020年7月31日に発表された税制改正要望書と全く同じです。
Ⅱ項「暗号資産市場及び実社会における活用の事例 」
こちらはJCBAがまとめたもの
Ⅲ項「暗号資産及び暗号資産交換業の社会的評価に関する調査」
コインチェック株式会社と株式会社HashPortがとりまとめ、JCBA税制検討部会にてレビューを行ったもの
要望骨子
【1】暗号資産のデリバティブ取引について、20%の申告分離課税とし、損失については翌 年以降3年間、デリバティブ取引に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。
【2】暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失について は翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることとする。
【3】暗号資産取引にかかる利益年間20万円内の少額非課税制度を導入する。
暗号通貨業界の団体
暗号通貨関連の団体は色々ある。例えば以下が「暗号通貨業界団体」でGoogle検索したら1ページ目にでてくる業界団体です。(検索結果順)かなり前に編集長が潜入した協会もあります…。
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)
日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)
日本ブロックチェーン協会(JBA)
日本クリプトコイン協会(JCCA)
その他にもたくさんあるぽいです。
日本のブロックチェーン関連業界団体
JVCEA
JCBA
JBA
BCCC
BCCA
CA3全部わかる人は業界で10人もいないんじゃないか説
— 日本暗号資産市場 岡部典孝 (@noritaka_okabe) October 5, 2020
加納裕三さんのドヤはこちらです。
業界団体(JVCEA、JBA、JCBA)の3団体の理事になったのは私しかいません
過去6年くらい話はしていますが、暗号資産の税を総合課税から分離課税に改正するのは相当難しいのかなと
暗号資産という名前に変更したのは形式上とはいえ政府(内閣提出法案)なので、怪しいと言われると悲しいですが(泣) https://t.co/2DdgO1TIvJ
— 加納裕三 (Yuzo Kano) (@YuzoKano) June 2, 2020
暗号通貨業界団体への加入
ちなみにこれら協会団体の会員になるにはどうしたらいいのだろうか。気になったので調べてみました。
JVCEAの会員になるには
会員種別
第一種会員 | 暗号資産交換業者 |
第二種会員 | 資金決済法第63条の3に規定する暗号資産交換業者登録の申請中の事業者又は申請を予定する事業者 |
会費
(第一種会員)
入会金 | 2,000,000円 |
年会費 | 暗号資産交換等取引業務のみ 7,200,000円 暗号資産交換等取引業務及び暗号資産デリバティブ取引業務 9,600,000円 暗号資産デリバティブ取引業務のみ 7,200,000円 暗号資産カストディ業務のみ 3,600,000円 |
預託金 | 3,000,000円 |
(第二種会員)
入会金 | 2,000,000円 |
年会費 | 3,600,000円 |
参考:会員について
JCBAの会員になるには
会員種別
正会員 | 暗号資産(仮想通貨)関連ビジネスに携わる法人であって、理事会で正会員として承認された法人。一般社団法人法の社員であり、社員総会にて議決権を有し、幣協会の運営に関わること可能。 |
準会員 | 前号に該当する法人以外であって、当協会の趣旨に賛同し、理事会で準会員として承認された法人。 |
特別会員 | 当協会の設立以降、特別の貢献のあった法人又は団体 |
会費
正会員 | 年会費:900,000円(月換算:75,000円) |
準会員 | 年会費:360,000円(月換算:30,000円) |
参考:会員について
編集部より
法律がどのように作られていくかなど普段全く知らないので、この話題をきっかけに自民党の『予算・税制等に関する政策懇談会』について軽く調べてみましたが、何日にもわたってたくさんの業界にヒヤリングを行っているものなのですね。調べてみなければ単に金融業界だけにまつわる政策懇談会だと勘違いしていました。
普段、暗号通貨や情報分野(IT)に身を置いているので、どうしてこうも政策が上手に決まらないのかと不満に思うこともありますが専門分野でもない人たちが専門分野の人たちを呼んで意見を聞きながら政策を作っていくのは、たしかに大変な作業だし、うまくいかないのは当たり前だなと感じました。
今回の要望が受け入れられるかはまだわかりませんが、今後も活用事例を含めた働きかけを続けてぜひ改正の方向に進んでほしいと願います。